FX会社ごとにFXの取引方式が違うのはご存知だろうか。
国内FXトレーダーで取引方式の違いを明確に説明できる人はまだまだすくない。
しかしFX業者を選ぶ際、そのブローカーがどの取引方式を採用しているかは非常に重要な要素だ。
事実、海外のトレーダーは、スプレッドやレバレッジを検討する前にまず取引方式を確認すると言われている。
FXの取引方式には大きくわけて
- DD方方式・・・FX会社(ディーラー)がトレーダーとインターバンクの間に介入する
- NDD方式・・・FX会社(ディーラー)がトレーダーとインターバンクの間に介入しない
の2種類がある。(さらにNDD方式の中にはSTP方式とECN方式の注文方法が分かれている。)
もしあなたがFXの取引方式についての知識がないならば本ページを参考にしてほしい。
本ページでは、DD方式とNDD方式(STP,ECN)の違いやメリットデメリットを解説していく。
目次
DD(OTC)方式とは?
DD方式(別名:OTC方式・相対取引)は<※ディーリングデスク方式>の略。
トレーダーの注文はインターバンクに直接注文されるわけではなく、一旦FX会社が全て注文を決済する。
一旦決済してから、『トレーダーの注文が勝ちそうなら注文は通す』『トレーダーの注文が負けそうなら注文は通さない(呑む)』と、中のプロのディーラーが判断する。
注文を通すも通さないもFX会社の中のディーラーの裁量が入るわけで、実際に自分の注文が通っているのかどうかはブラックボックスの中。
中のディーラーが顧客の注文を呑んだ場合は、当然顧客とFX会社の利益が相反する。
顧客が損をすればFX会社が儲かるし、顧客が儲かればFX会社が損をするという仕組みだ。これが別名『相対取引』と言われる理由である。
※ディーリングデスクとは、FX会社が雇っている凄腕のプロディーラー達のこと
DD方式を日常生活で解説
あなたが友人のXさんに指定の競馬券を3万円分買ってきて!と頼んだとする。
Xさんには代わりに買ってきてもらう手間賃として競馬券代とは別で2,000円渡した。
ところがXさんは、あなたが指定したレースの競馬券が当たらないと確信している!
そこでXさんは、外すと確信している競馬券を買うより、預かった競馬代金3万円をそのままもらったほうが得だ。と考える。
そのレースであなたの競馬券が外れたら、Xさんは手間賃2,000円と競馬購入代金3万円、計3万2,000円をそっくりそのままポケットに入れることができるわけだ。
しかし、万が一あなたの予想が的中すれば、Xさんは配当金は支払わなければいけない・・・。
当然Xさんはそのレースであなたの予想を『外れろ!外れろー!!!』と念じている。
上記がいわゆる呑み行為であなたとXさんの利益関係は相反していることがお分かりいただけたことだろう。
- あなた=トレーダー
- Xさん=FX会社(ディーラー)
- 競馬券=注文
- 手間賃=スプレッド
に置き換えるとそのままFXのDD取引と同じ構図になる。
つまりXさん(ディーラー)は、あなたの競馬券(注文)を買うかどうかは、裁量できめているということだ。
DD業者がスプレッドが狭くても儲かる仕組みとは?
DD業者のほとんどが低スプレッドを提供している。
限りなくゼロに近いスプレッドを提示して、本当に儲かるのか?と思うがDD業者はびっくりするほど儲かっている。
その理由は単純で、スプレッド以外に顧客とのトレードというキャッシュポイントを持っているからだ。
FXトレードでは市場参加者の90%が負けるといわれている。さらにその90%のうち、ほとんどがトレードを始めて1年以内の初心者だ。
つまりトレーダーは負けるという統計がすでに取れている。
そして、ディーリングデスクではプロのディーラーが裁量で顧客の注文を裁くのは上述した通りだ。
プロディーラーは、10%の安定して勝っているトレーダーには便乗すればいい。
そして90%の負けているトレーダーには反対売買を入れていればトータルで勝ち越すことは簡単だ。(これらの初心者トレーダーには常に反対売買を出し続けていたら勝手に負けてくれるので業者にとっては上客と言える。)
また顧客へ提示するレートは業者が完全に決めれるので、相場が急変動しているときやリスクが高い相場の場合は、リクオートして注文をはじき、リスク回避することもできる。
なんとも皮肉な話だが、DD方式の業者は顧客の負け分によって多大な利益をあげている。スプレッドなんてゼロでも全然問題ない仕組みができているのだ。
DD方式を採用している業者は?
- 国内FX業者全般(特にDM〇FXやGM〇など超低スプレッドを売りにしている業者が多い)
- 海外FX業者の一部(iFOREX・LANDFX)
驚くことに国内FX業者のほとんどはDD方式である。
国内FC業者がなぜDD方式を採用しているのかを知りたい方は以下を参考にしてほしい。
DD業者のデメリットは?
DD業者のデメリットを紹介する。
- 顧客不利の取引が起こる可能性がある
- 高回転スキャルピングで儲けると口座凍結される
顧客不利の取引が起こる可能性がある
- ストップ狩り
- 不利なスリッページ
- 故意のレート変更
- 故意のリクオート
- 故意のシステムダウン
など、顧客を負けさせようとあの手この手を使って行ってくる可能性がある。
例えば、6/24イギリスがEU離脱を発表した際の楽天FXのスプレッド。
300PIPSものスプレッド。
当然ロスカットされたトレーダーに対して補償は一切なかった。
上記動画は300PIPSも開いたスプレッドについて楽天FXと電話したユーザーが投稿したものだ。楽天FXのカスタマーサポートのレベルの低さが伺える。
この動画で楽天FXの担当が言っているようにディーラーのオペレーションでの手動入力でレートを決めているのだ。興味がある方は見てみてほしい。
楽天FX以外にも
- GMOクリック証券
- DMM.com証券
- YJFX
- FXブロードネット
- 外為どっとこむ
- 外為オンライン
- ヒロセ通商
これらの業者はストップ狩りやレートずらしを行っていると噂されている。
当然これらの不自然な動きが起こる可能性は約款に盛り込まれているため、極端におかしなレートの付け方をしてストップを狩られたとしても、業者側では一切補填などは行わない。(故意にレートをずらしているので当然だが)
高回転スキャルピングで儲けると口座凍結される
『スキャルピングで利益を出していたら突然口座が凍結された・・・。』
このような噂を聞いたことはないだろうか?
これは現実に起こった話だ。
口座凍結されたトレーダーは1日に1000回以上スキャルピングトレードを行い、月に数千万円の利益をあげていた。
高回転スキャルピングは、ディーラーのカバーが間に合わず業者側が損失を被ってしまう可能性が高い。
顧客が損失を出し続けている場合は1万回でも3万回でも問題はないが、利益を出しつづける場合、顧客の利益はそのまま業者側の損失となる。
これはEAをつかった自動売買でも同じで、DD業者はプログラムの処理スピードについていけない。
DMMFX・外為オンライン・楽天FXなどをはじめとするDD業者で高速スキャルピング、または自動売買を禁止している。
第 7 条 (禁止事項)
(9) 短時間での注文を繰り返し行う行為
第 34 条(本サービスの利用の制限)
(12)本サービスの装置上、システム上の脆弱性を利用し、当社が予め想定し得ない操作が行われていると認められた場合、もしくはそのような行為と疑われる行為をしたと認められる場合。または、当社の認めていないプログラムの使用等により、当社のシステムの意図から外れた方法、もしくは過大なアクセスにより、当社のシステム及び他のお客様に影響を及ぼすと当社が判断した場合。
取引の方法の如何にかかわらず、当社が、短時間における連続した取引、インターバンク市場の混乱を招く取引、当社のカバー取引に影響を及ぼす取引、または過度な取引等不適切な取引であると判断したとき。
引用元:楽天FX 取引約款兼取引規定
いくらスキャルピングで利益を出しても、約款違反だと出金拒否や、口座凍結のリスクはある。
スキャルピング派は、DD業者を使うのはおすすめしない。
※高回転スキャルピングとは一日に数百回取引をして1pips~5pipsを何度も抜くトレード手法。
DD業者のメリットは?
残念ながらDD業者はNDD業者と比較して、際立ったメリットは存在しない。
強いていうなら国内FX業者の場合、低スプレッドで取引ができるということくらいだ。
もちろん全てが全て上記のような、悪質な取引環境を提供しているわけではない。
ひと昔前までは、『故意のレートずらし』や『ストップ狩り』は今よりも頻繁に行われてきたが、近年では一部のDD業者を除きだいぶまっとうに運営していると思う。
NDD方式とは?
NDD方式は<※ノーディーリングデスク方式>の略。
海外FX業者の多くが採用している取引方式で、ディーラーを通さずトレーダーの注文はそのままインターバンクにて決済される。
NDD方式は、FX会社側で一切トレーダーの取引に関与しないため、スプレッドからの手数料のみが収入源なのが大きな特徴だ。顧客とFX会社の利益が相反せず、非常にクリーンな取引環境と言える。
つまり顧客が儲かってたくさん取引してくれればしてくれるほど、業者にも手数料がたくさん入るため、業者側も儲かるという仕組みである。
NDD方式には2種類ある
NDD方式には、さらに細かく<STP方式>と<ECN方式>の注文方式がある。
<STP方式>
STPは『ストレート・スルー・プロセッシング』の略で、スプレッドに業者の利益をのせて顧客にレートを提供する方式。
<ECN方式>
ECNは『エレクトニック・コミュニケーションズ・ネットワーク』、電子取引所取引の略で、日本の株式投資と同様、参加者同士が注文をぶつけ合う方式。
スプレッドは0pips~だが、1取引ごとに別途手数料がかかる。
NDD方式を採用しているFX業者は?
- Traders Trust
- Titan FX
- FBS
- MILTON MARKETS
- AXIORY
やはり海外トレーダー(取引方式を最重要視)を相手にしているだけあって、数多くの海外FXブローカーがNDDを採用している。
NDD方式のデメリット!DD業者よりもスプレッドが広い
NDDを採用している海外ブローカーは、スプレッドの面ではやはり国内FX業者に勝てない。
スプレッドからの収益のみの運営なので、こればかりは仕方がない。
とはいえ、NDD業者でも例えばTitanFXのように自社の利益を極限まで削ってかなりの高水準のスプレッドを提供している業者もある。
NDD方式のメリットは?
NDD方式のメリットは2つ。
- 取引条件無制限。スキャルピング・自動売買し放題
- 不利な取引条件になる心配がない
取引条件無制限。スキャルピング・自動売買し放題
繰り返しになるが、NDD業者はトレーダーの取引回数が増えれば増えるほど、スプレッド分の利益で自社も儲かる仕組みだ。
なので、取引条件は無制限で、1秒スキャルピングや超高速の自動売買もやり放題だ。
もちろん、スキャルピングによる利益の出し過ぎで口座を凍結されるリスクも一切ない。
不利な取引条件になる心配がない
NDD業者はDD業者のように、
- ストップ狩り
- 不利なスリッページ
- 故意のレート変更
- 故意のリクオート
- 故意のシステムダウン
などを行うことは一切ない。
このような行為は、顧客離れの原因になるだけでなく、相対取引でないためそもそも業者側にとってのメリットが一切ないからだ。
むしろトレーダーにたくさん取引をしてほしいNDD業者は、少しでも良い条件でトレードしてもらおうと、取引環境には非常にチカラを入れている。
DD(OTC)方式・NDD方式の違いまとめ
ここまでDD方式とNDD方式について解説してきたが、一番大きな違いは
- DD方式・・・トレーダーが負ければ負けるほど、業者が儲かる
- NDD方式・・・トレーダーが勝てば勝つほど、業者が儲かる
このように、顧客と業者の関係がLOSE/WINの関係か、WIN/WINの関係か、という点だと考える。
DD業者で絶対に取引をしてはいけない!とまでは言わない。
しかし、せっかくトレードで頑張って多額の利益がでたにも関わらず、DD業者をつかっていたために利益没収なんてことになったら笑えない。
中長期的な目線で考えた場合、NDD業者をメイン口座にするのは必然と言えるだろう。